

音楽療法コラム
2025/3/27
更新日:2025年3月27日
「最近、なんだか元気がないな…」「ちょっとしたことで疲れやすくなったかも…」
そう感じている中高年の方はいらっしゃいませんか?
「はい!ここにいます!🖐️」
(40歳を超えて、第2子を高齢出産したあたりから体力・免疫力・記憶力などがガタ落ち。ですが、何とかかんとかやっております。)
そんな「なんだか元気がない…」「ちょっとしたことで疲れやすくなってきた…」「朝起きた瞬間から疲れてる!(はい🖐️)」方はもしかしたら、「フレイル」のサイン、「フレイル予備軍」かもしれません。
本記事では、フレイル予防と音楽・音楽療法の関連について、研究報告をまじえながら解説します。
フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的・精神的な機能が低下した状態のことです。フレイルを放置すると、要介護状態へと進行するリスクが高まります。
しかし、適切な予防策を講じることで、フレイルの進行を遅らせたり、健康な状態に戻ったりすることができるんです!

フレイル予防、介護予防は、特定の年齢から始めるというよりも、生涯を通じて意識することが重要!ただし、加齢に伴いリスクが高まるため、特に以下の年齢層では積極的に取り組むことが推奨されています。
65歳以上:
高齢期に入ると、身体機能や認知機能の低下が顕著になり始めるため、この年齢層では積極的に介護予防、フレイル予防に取り組むことが重要です。
多くの自治体や医療機関では、65歳以上を対象とした介護予防教室やフレイルチェックなどを実施しています。
75歳以上:
後期高齢者に入ると、フレイルのリスクがさらに高まります。
厚生労働省は、2024年度から75歳以上の人を対象に、フレイルの状態になっているかどうかをチェックする健診を実施することになりました。
40代、50代からの予防:
フレイルは高齢者の課題と捉えがちですが、実際には40代、50代から予防を意識することが大切です。
筋肉量は加齢に伴い40歳代から減少し始めるという調査結果も出ています。
若い方でも、痩せや筋力低下などのフレイルの芽を放置すると、将来、フレイルのリスクは高くなります。。
つまり、フレイル予防、介護予防は、高齢期に入ってから始めるのではなく、若い頃からの生活習慣が大きく影響します。バランスの取れた食事、適度な運動、社会参加などを心がけ、生涯を通じて健康な生活を送ることが重要です。
私事ですが、Web制作の仕事をはじめて(勉強期間も合わせて)、明らかに運動不足になりました。リハビリの仕事も音楽療法の仕事も結構体を動かすので、Web制作が中心になった今、バリバリの運動不足です。フレイルまっしぐら。いけませんねぇ…。数ヶ月前にルームランナーを買いました(まだ使ってません←)。自戒の意をこめての今回のテーマ:フレイル!
フレイル予防に、今回注目したいのが「音楽」の力です。
音楽には、心身のリラックス効果や認知機能の活性化、コミュニケーションの促進など、様々な効果が期待できます。近年では、音楽が介護予防やフレイル予防に有効であるという研究結果も数多く報告されています。
この記事では、介護予防、フレイル予防における音楽の可能性について、具体的なエビデンス・研究結果を交えながら解説します。
フレイル予防において、音楽は以下のような効果が期待されています。
身体機能の向上:
音楽・リズムに合わせて体を動かすことで、運動機能の維持・向上、転倒予防に繋がる。
認知機能の活性化:
音楽を聴いたり、歌ったり、演奏したりすることで、脳が刺激され、記憶力や注意力、判断力などの認知機能の維持・向上に繋がる。
回想法を取り入れた音楽療法では、昔の音楽を聴くことで、記憶が刺激され、認知機能の維持・活性化に繋がる。
精神機能の安定:
音楽にはリラックス効果や気分の高揚効果があり、ストレスや不安、抑うつなどの軽減に繋がる。好きな音楽を聴くことで、幸福感や満足感が高まり、精神的な安定に繋がる。
社会性の促進:
音楽を通して、他者とのコミュニケーションや交流が生まれ、孤立感の解消や協調性・社会性に維持・促進に繋がる。
これらの効果は、高齢者の心身の健康を維持し、フレイルの進行を予防するために非常に重要です。

音楽を活用した介護予防、フレイル予防の方法として、代表的なものに「音楽療法」があります。
音楽療法: 音楽療法士という専門家が、個々のニーズや目標に合わせて音楽プログラムを作成し、提供します。音楽を聴いたり、歌ったり、楽器を演奏したり、音楽に合わせて体を動かしたりすることで、心身の機能向上や心理的な安定を目指します。
音楽療法は、より専門的な知識や技術が必要となるため、専門家による個別または集団でのセッションとして提供されることが多いです。
近年、介護予防、フレイル予防における音楽の効果について、様々な研究が行われています。
音楽療法による身体機能への効果:
高齢者の歩行能力やバランス能力、筋力などを向上させるという研究結果が報告されています。
◾️音楽を用いた多重課題トレーニングが高齢者の歩行、バランス、転倒リスクに及ぼす効果:ランダム化比較試験(2019, Aging Clinical and Experimental Research)
高齢者を対象に、音楽を用いた運動(リズムウォーキング)を6か月間実施。
筋力、歩行速度、バランス能力が有意に向上し、フレイルの進行が抑制。
山形大学の研究では、音楽療法学会により作成された構造化された音楽療法プログラムの効果が証明され、少なめであった食事量が増え、噛む力、唾液量やしっかり声を出す機能が改善されたという報告もされています。
【出典:山形大学 大学院医学系研究科 リハビリテーション医学講座 教授】
https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/information/press/20241023/
音楽療法による認知機能への効果:
高齢者の記憶力や注意力を向上させるという研究結果が報告されています。音楽を聴くことで、脳の血流が増加し、認知機能が活性化するという報告もあります。
◾️音楽活動と認知機能(2020, Frontiers in Aging Neuroscience)
60歳以上の高齢者を対象に、定期的な合唱活動を行ったグループと行わなかったグループを比較。合唱グループは認知機能(記憶力・言語能力)が向上し、社会的孤立も減少。
2023年に発表されたジュネーブ大学の研究では、62歳から78歳の被験者を対象に6ヶ月間の音楽療法を実施し、音楽を定期的に聴いたり演奏したりすることで脳の灰白質の減少が抑制され、認知機能の低下が遅れることが確認されました。
【出典:音楽は脳の老化を防ぐ、ジュネーブ大学の研究】
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666956023000119?via%3Dihub#sec3
音楽療法による精神機能への効果:
高齢者の抑うつ症状や不安症状を軽減させるという研究結果が報告されています。音楽を聴くことで、リラックス効果や気分の高揚効果が得られ、ストレスホルモンの分泌が抑制されるという報告もあります。
◾️在宅高齢者に対する受動的音楽療法の生理的・心理的効果(2005,北海道大学大学院)
在宅高齢者を対象に、10分間の音楽聴取(受動的音楽療法)を行い、その生理的・心理的変化を検討した研究です。結果として、脳波のα波パワー値が上昇し、リラックス効果が示唆されました。
◾️音楽活動と社会的フレイル(2021, Journal of Aging Studies)
高齢者が週1回以上の音楽活動(合唱・楽器演奏)を行うと、社会的ネットワークが維持され、うつ症状のリスクが低下。
音楽療法によるQOLへの効果:
音楽療法が、高齢者の生活の質(QOL)や幸福度を向上させるという効果が報告されています。音楽には心身の健康を促進する効果があり、特に認知機能の維持や感情の安定化に大きな影響を与えることが研究で明らかになっています。
【音楽が認知症高齢者に及ぼすQOLの向上 | 九州保健福祉大学】https://phoenix.repo.nii.ac.jp/record/772/files/079-084%20%E6%9D%BE%E5%8E%9F%E7%94%B1%E7%BE%8E_%E4%BF%AE%E6%AD%A3%E7%89%88.pdf
【音楽療法の基本とデイケアでの応用 – 高齢者のQOL向上を目指して | 医療法人 丸岡医院】
https://maruoka.or.jp/nursing-care-services/day-care/music-therapy-day-care/
これらの研究結果は、音楽が介護予防、フレイル予防に有効な手段となり得ることを示唆しています。
音楽を活用したフレイル予防の具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
歌唱: 懐かしい歌や好きな歌を歌うことで、発声機能や呼吸機能の維持・向上、認知機能の活性化、気分の高揚などが期待できます。
楽器演奏: 簡単な楽器を演奏することで、手指の機能向上や認知機能の活性化、達成感や喜びの創出などが期待できます。
音楽に合わせて体を動かす: 音楽に合わせて体操やダンス、リズム運動などを行うことで、筋力やバランス感覚、柔軟性などの向上、気分転換やストレス解消などが期待できます。
音楽鑑賞: 好きな音楽を聴いたり、コンサートや音楽イベントに参加したりすることで、リラックス効果や気分の高揚、社会参加などが期待できます。
音楽療法: 音楽療法には、上記全ての要素が含まれることがほとんどです。音楽療法士による専門的なセッションを受けることで、個々のニーズや目標に合わせた効果的な治療的音楽プログラムを受けることができます。
これらの方法を組み合わせることで、より効果的なフレイル予防が期待できます。

音楽を活用する上で、いくつか注意しておきたい点があります。
個々の状態や好みに合わせる:
高齢者の身体機能や認知機能、音楽の好みなどは個人差が大きいため、個々の状態や好みなど状態に合わせた音楽プログラムを作成・提供することが重要です。その場、その状況でアレンジ、対応する必要があることも。
安全に配慮する:
音楽に合わせて体を動かす場合、転倒や怪我などに十分注意し、安全に配慮したプログラムを作成・提供することが重要です。
専門家と連携する:
「音楽療法」として行う場合、音楽療法士や医療従事者などの専門家と連携し、適切なプログラムを作成・提供することが重要です。
これらの点に注意することで、より効果的かつ安全に音楽を活用することができます。
studio森パレットでは、作業療法士・社会福祉士の資格・実務経験のある日本音楽療法学会認定音楽療法士による専門的な音楽療法プログラムを提供しています。
森パレの音楽療法の特徴は以下の通りです。
エビデンスに基づいたプログラム:
最新の研究結果やエビデンスに基づき、効果的な音楽プログラムを作成しています。
個別性を重視したプログラム:
個々のニーズや目標、状態に合わせて、きめ細やかなプログラムを提供します。
多職種連携:
医療・介護・福祉の専門家と連携し、包括的なケアを提供します。
地域に根差した活動:
地域の方々との交流や連携を大切にし、地域全体の健康づくりに貢献します。
音楽療法にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
音楽は、高齢者の心身の健康を維持し、フレイルの進行を予防するための有効な手段となり得ます。音楽療法を適材適所で活用し、いつまでも元気でいきいきと暮らせる社会を!
今回、自身の勉強・復習のためもあり、最近の研究情報をまとめつつ記事を作成しました。この記事が、健康に不安が感じてきた中高年の方やご家族の方、医療・介護・福祉職の方にとって、音楽を活用したフレイル予防の可能性について考えるきっかけとなれば幸いです。また、音楽療法や音楽レクを行う方の参考になれば幸いです。
studio森パレットのブログでは、音楽療法に関する様々な情報を発信しています。こちらもぜひご覧ください。
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著者
マツダ サチコ
日本音楽療法学会認定音楽療法士、作業療法士、社会福祉士。介護老人保健施設や認知症疾患医療センター、訪問事業所にて勤務。ダブルケアを経て、現在はWebマーケティング・制作会社にて勤務、ディレクションおよび制作を担当。個人事業としてもWeb制作、音楽療法を行なっている。
著者
マツダ サチコ
日本音楽療法学会認定音楽療法士、作業療法士、社会福祉士。介護老人保健施設や認知症疾患医療センター、訪問事業所にて勤務。ダブルケアを経て、現在はWebマーケティング・制作会社にて勤務、ディレクションおよび制作を担当。個人事業としてもWeb制作、音楽療法を行なっている。
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